カワミ マコト   KAWAMI Makoto
  河見 誠
   所属   青山学院大学  コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間科学科
   職種   教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2006/07
形態種別 その他
標題 「文献紹介・甲斐克則『被験者保護と刑法』」
執筆形態 単独
掲載誌名 『年報医事法学21』(日本評論社)
巻・号・頁 180-184頁
概要 書評

医療をめぐる法の在り方に関する書は数多いが、法学者による被験者保護に関する体系書は本書が初めてである。本書評においては、被験者・患者の権利保護を論じる際の原点を「人間の尊厳」に置いていること、そして序章に「広島から見た生命倫理」報告を基にした論稿を据えて原爆をはじめとして戦争という暴力を体験した当事国であることを日本で人体実験・臨床試験を考える重要な立脚点としていることを高く評価する。そして人間の尊厳を原点に置いた際の被験者保護に関する著者の帰結を七つにまとめ、説明する。但し、問題は、この七つの帰結を相互矛盾させることなく、人間の尊厳の基にどのように包摂するかが課題であることを指摘する。しかし、むしろこの課題は法哲学に投げかけられたものであって、評者の「物語としての生」理解からの応答を試みる。