ナカムラ タカユキ
NAKAMURA Takayuki
中村 隆之 所属 青山学院大学 経済学部 経済学科 職種 教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2019/03 |
形態種別 | 大学・研究所等紀要 |
標題 | I.M.ヤングの責任の社会的つながりモデルを成り立たせる経済的条件 : 道徳的行為の資源と「富の責任」制度 |
執筆形態 | 単独 |
掲載誌名 | 青山経済論集 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | 70(4),73-95頁 |
概要 | アイリス・M・ヤングは責任の社会的つながりモデルを次のように提唱している。「ある行動をすることで不正義を生み出す構造的なプロセスに関与したすべての人は、そのプロセスがもたらした害悪に対して責任を共有する」(Young 2011, p.109)。この共有された責任は、過去の責任を問う帰責ではなく、未来に向けられたものである。ヤングのこの概念は魅力的であるが、同時に多くの論者からその構造から利益を得ている人々にはそれを変えるためのインセンティブがない、あるいは構造を変えるための資源がないという批判を受けた。この問題点を「富の責任」という考え方によって解決できる、と私は提唱する。「富の責任」とは、大きな富を持つ個人や大規模な会社は自身が富を得た過程がフェアであったことを説明する責任を負い、またその富の一部は公共的な善のために支出する義務を負うというものである。「富の責任」は、ヤングの責任概念が成り立つための経済的条件を与えるだけでなく、分配的正義や機会の平等についての新しい見方も提起するものである。 |